理学療法士国家試験では、神経疾患に関する問題が毎年のように出題されます。
特に、
・脳血管障害
・Parkinson病
・脊髄損傷
・多発性硬化症
・筋萎縮性側索硬化症
・Guillain-Barré症候群
・小脳疾患
などは、国家試験対策として優先的に理解しておきたい疾患です。
神経疾患は、症状や病変部位が複雑で、苦手意識を持ちやすい分野でもあります。
私自身も国家試験の勉強を始めた頃は、
「この症状は錐体路障害だったか、小脳障害だったか」
と混乱することがよくありました。
しかし、疾患名だけを暗記するのではなく、病変部位・症状・評価を関連付けて整理することで、少しずつ問題を解きやすくなりました。
この記事では、理学療法士国家試験でよく出る神経疾患と、覚えておきたいポイントをまとめます。
脳血管障害
脳血管障害は、神経分野の中でも特に出題頻度が高い疾患です。
脳血管障害には、主に次のようなものがあります。
・脳梗塞
・脳出血
・くも膜下出血
理学療法士国家試験では、障害された部位と症状の関係がよく問われます。
例えば、大脳皮質や内包が障害されると、反対側の運動麻痺や感覚障害が生じることがあります。
脳血管障害で押さえておきたい主な症状は、次のとおりです。
・片麻痺
・感覚障害
・失語
・半側空間無視
・失行
・失認
・嚥下障害
症状を覚えるときは、左右の大脳半球の特徴も整理しておきましょう。
左大脳半球の障害では、失語症や失行がみられやすいとされています。
右大脳半球の障害では、半側空間無視や病識の低下などがみられることがあります。
ただし、すべての患者さんに同じ症状が現れるわけではありません。
国家試験では典型的な特徴が問われるため、まずは基本的な組み合わせを覚えておくことが大切です。
Parkinson病
Parkinson病も、理学療法士国家試験で頻出の神経変性疾患です。
主な原因は、中脳の黒質にあるドパミン神経細胞が減少することです。
Parkinson病の代表的な四大症状は、次のとおりです。
・安静時振戦
・筋強剛
・無動または寡動
・姿勢反射障害
国家試験では、歩行の特徴もよく問われます。
代表的な歩行障害には、
・小刻み歩行
・すくみ足
・突進現象
・腕振りの減少
・方向転換時の不安定性
などがあります。
また、Parkinson病では外部からの刺激によって動作が行いやすくなる場合があります。
例えば、
・床に線を引く
・リズムに合わせて歩く
・声かけを行う
といった方法です。
私はParkinson病の症状を覚えるときに、「歩き始められないのに、動き始めると止まりにくい」と整理していました。少し不思議に感じる特徴ですが、すくみ足と突進現象をセットで覚えると混乱しにくくなります。
脊髄損傷
脊髄損傷では、損傷した髄節と残存機能の関係が重要です。
国家試験では、
・損傷高位
・残存筋
・可能な動作
・使用する装具
・自立できるADL
などが問われます。
例えば、頸髄損傷では上肢にも障害が生じる可能性がありますが、胸髄損傷では上肢機能が保たれることが多くなります。
また、完全損傷と不完全損傷の違いも重要です。
完全損傷では、仙髄領域を含め、損傷部位より下位の運動機能と感覚機能が失われます。
不完全損傷では、損傷部位より下位にも何らかの運動機能や感覚機能が残存します。
脊髄損傷では、急性期に脊髄ショックが起こることがあります。
脊髄ショックの時期には、損傷部位より下位で弛緩性麻痺や腱反射の消失がみられます。
その後、時間の経過とともに痙性麻痺へ移行する場合があります。
多発性硬化症
多発性硬化症は、中枢神経系の脱髄疾患です。
脳や脊髄、視神経などに病変が生じ、さまざまな神経症状が現れます。
国家試験で押さえたい特徴は、
・若年成人に多い
・中枢神経系の脱髄疾患
・症状の再発と寛解を繰り返す
・視力障害
・感覚障害
・運動麻痺
・失調症状
などです。
多発性硬化症では、体温が上昇することで一時的に神経症状が悪化することがあります。
これをUhthoff徴候といいます。
そのため、理学療法では過度な運動による体温上昇に注意が必要です。
国家試験では、末梢神経疾患ではなく、中枢神経系の疾患であることを整理しておきましょう。
筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮性側索硬化症は、ALSとも呼ばれる進行性の神経変性疾患です。
上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方が障害されます。
そのため、
・筋力低下
・筋萎縮
・線維束性収縮
・腱反射亢進
・病的反射
・球麻痺症状
などがみられます。
ALSでは、感覚障害が目立ちにくいことが特徴です。
また、進行すると呼吸筋の筋力低下や嚥下障害が生じることがあります。
国家試験では、
「上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの症状が混在する」
という点がよく問われます。
上位運動ニューロン障害では、痙性麻痺や腱反射亢進がみられます。
下位運動ニューロン障害では、弛緩性麻痺、筋萎縮、腱反射低下などがみられます。
この2つを比較して整理しておくと、ALSの問題にも対応しやすくなります。
Guillain-Barré症候群
Guillain-Barré症候群は、末梢神経の障害によって運動麻痺などが生じる疾患です。
感染症の後に発症することがあり、急速に症状が進行する場合があります。
主な特徴は、
・上行性の運動麻痺
・左右対称性の筋力低下
・腱反射の低下または消失
・末梢神経障害
・呼吸筋麻痺の可能性
などです。
上行性麻痺とは、下肢から上肢や体幹へ向かって麻痺が進行することです。
症状が重い場合には、呼吸筋にも障害が及ぶため、呼吸状態の確認が重要になります。
ALSでは一般的に腱反射亢進がみられる場合がありますが、Guillain-Barré症候群では腱反射が低下しやすいという違いがあります。
似た疾患同士を比較して覚えると、選択肢を判断しやすくなります。
小脳疾患
小脳は、運動の協調性や平衡機能などに関与しています。
小脳が障害されると、筋力が保たれていても、動作が滑らかに行えなくなることがあります。
代表的な小脳症状は、
・運動失調
・測定障害
・企図振戦
・反復拮抗運動不能
・眼振
・構音障害
・筋緊張低下
などです。
測定障害では、目標に対して動作が行き過ぎたり、届かなかったりします。
企図振戦は、目標物に近づくほど振戦が強くなるのが特徴です。
Parkinson病でみられる安静時振戦との違いを整理しておきましょう。
反復拮抗運動不能は、手の回内・回外のような素早い交互運動が難しくなる症状です。
小脳疾患の問題では、運動麻痺と運動失調の違いが問われることがあります。
運動麻痺は、筋力を十分に発揮できない状態です。
一方、運動失調では、筋力があっても運動の方向やタイミングをうまく調整できません。
上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害を整理する
神経疾患を理解するうえで、上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害の違いは非常に重要です。
上位運動ニューロン障害では、
・痙性麻痺
・筋緊張亢進
・腱反射亢進
・病的反射陽性
・軽度の廃用性筋萎縮
などがみられます。
下位運動ニューロン障害では、
・弛緩性麻痺
・筋緊張低下
・腱反射低下または消失
・筋萎縮
・線維束性収縮
などがみられます。
私はこの違いがなかなか覚えられず、問題を解くたびに表を書いて確認していました。何度も書いていると、最終的には問題文の「腱反射亢進」という言葉を見ただけで、上位運動ニューロン障害が思い浮かぶようになりました。
神経分野では、単独の用語だけを覚えるよりも、症状の組み合わせを覚えることが大切です。
神経疾患は病変部位から考える
神経疾患の問題では、病変部位から症状を考える習慣をつけましょう。
例えば、
大脳の障害
↓
片麻痺、失語、失行、失認
小脳の障害
↓
運動失調、測定障害、企図振戦
脊髄の障害
↓
損傷高位以下の運動・感覚障害
末梢神経の障害
↓
弛緩性麻痺、腱反射低下、筋萎縮
というように整理します。
問題文に疾患名が書かれていなくても、症状から障害部位を推測できるようになると、実地問題にも対応しやすくなります。
疾患ごとに比較表を作る
神経疾患は、似た症状が多いため、比較して覚える方法が有効です。
例えば、振戦を比較すると、
Parkinson病
↓
安静時振戦
小脳障害
↓
企図振戦
という違いがあります。
腱反射を比較すると、
上位運動ニューロン障害
↓
亢進
下位運動ニューロン障害
↓
低下または消失
となります。
麻痺の特徴を比較すると、
脳血管障害
↓
片麻痺が多い
Guillain-Barré症候群
↓
左右対称性の上行性麻痺
と整理できます。
自分で表にまとめることで、知識の混乱を防ぎやすくなります。
過去問で症状の組み合わせを確認する
神経疾患は、参考書を読むだけでは知識が定着しにくい分野です。
QBなどの過去問題集を使って、実際の問題の中で症状の組み合わせを確認しましょう。
問題を間違えたときは、正解だけを見るのではなく、
・どの部位が障害されているのか
・なぜこの症状が出るのか
・他の選択肢はどの疾患に当てはまるのか
まで確認することが大切です。
私はQBで間違えた問題を復習するとき、疾患名の横に「病変部位」と「代表症状」を簡単に書き足していました。
一問ごとの復習には時間がかかりましたが、似た問題が出たときに知識を使いやすくなりました。
おすすめ参考書
📚 メイン:クエスチョン・バンク 理学療法士国家試験問題解説
神経疾患の過去問を解きながら、頻出ポイントを確認できます。
正解した問題でも、選択肢の根拠を説明できるか確認しながら進めるのがおすすめです。
📚 補助:病気がみえる vol.7 脳・神経
脳血管障害、Parkinson病、多発性硬化症、ALSなどの病態を、イラストを使って理解できます。
神経疾患の病変部位と症状の関係が分からないときに役立つ一冊です。
まとめ
理学療法士国家試験で特に押さえておきたい神経疾患は、
・脳血管障害
・Parkinson病
・脊髄損傷
・多発性硬化症
・筋萎縮性側索硬化症
・Guillain-Barré症候群
・小脳疾患
などです。
神経疾患を覚えるときは、疾患名だけを暗記するのではなく、
病変部位・代表症状・反射・筋緊張・歩行の特徴
を関連付けて整理しましょう。
特に、
・上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害
・安静時振戦と企図振戦
・痙性麻痺と弛緩性麻痺
・中枢神経障害と末梢神経障害
の違いは重要です。
最初からすべてを完璧に覚える必要はありません。
まずは過去問で繰り返し出る疾患を優先し、症状の組み合わせを少しずつ整理していきましょう。

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